CAS-UBによる本の制作工程の実例:
「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ」編集・制作作業(中)

本文の編集操作

「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ」編集・制作作業(上)の続きとしてCAS-UBでの編集作業を解説します。

 

CAS-UBの章・節の階層構造

説明の順序が逆ですが、最初に本書のできあがりページを示します。

ECMJ流!の本PDFの本文先頭

CAS-UBでは記事は次の図のような階層構造として作ります。章が最上位で、節はその下位となります。但し、PDFを出力するときには、すべての記事を結合してからページ分割しますので階層構造は見えなくなります。

ECMJ流!の本PDFの本文先頭の階層構造

本書では各ブログが一つの節です。章は類似のトピックの上位の見出しです。章のタイトルが大見出し、ブログのタイトルが節の見出し(中見出し)となります。一つのブログはおおよそ1,500文字なので節の本文は1ページ半程度です。ブログの本文に小見出しを設定することもあります。

本文アウトラインの編集操作

前回の「編集・制作の工程」の2. ボリュームと章建ての見直しで章建てと記事の順序が決まりました。そこで、次に前回の1. ブログ記事を仮に整理してPDF化印刷で作成したCAS-UBの出版物を対象にして、新しい章や節を追加したり、章や節の順番の入れ替えを行います。

章や節の追加

章や節の追加は、「新規記事作成」機能を使います。章を新規に追加するときは追加したい前の章を選択して、「新規記事作成」で「弟として」を選択して「新しい記事を書く」をクリックします。すると選択した章の後に空の章が新しく追加されます。節を新規に追加するときは、章を選んで「新規記事作成」で「子供として」「新しい記事を書く」か、節を選んで「弟として」として「新しい記事を書く」をクリックします。

章や節の追加

こちら(動画)もご参照ください☞ 「節の直後に新しい節(3本)を挿入、ブログの記事をコピー&ペーストする」

記事の移動

記事の移動はCAS-UBのアウトライン編集機能を使って行います。出版物内で一つの記事を移動するには、記事一覧で記事をマウスで選択して、ドラッグ&ドロップで移動します。

記事の移動

こちら(動画)もご参照ください☞ 「記事一覧で二つの節を章の最後に移動する。PDFを生成して索引の頁番号が、移動前と移動後で変更されていることを確かめる」

複数の記事をまとめて移動したり、移動の距離が大きいときは、選択した記事を移動する機能を使います。一括して移動したい記事を選んで、「記事の移動」で「親にしたい記事」を選びます。

複数の記事をまとめて移動

なお、出版物の間で記事の入れ替えが必要な場合もあります。CAS-UBでは二つ以上の出版物同時に編集できますので、これは二つの出版物を開いて行います。残念ながら、現在のところ出版物間の記事の移動はコピー&ペーストでしかできません。

このようにCAS-UBのアウトライン編集機能で全体の構成を編集できます。但し、出版物によっては大量の記事の入れ替えが必要となります。この作業は、現在、あまり効率的ではありません。その理由は、CAS-UBはWebサービスであり、インターネットを介してブラウザとサーバー間で記事内容のやり取りに時間がかかるためです。大がかりな編集作業は全部手元のPCで行えるようにする方が良いかもしれません。このあたりは今後の大きな改善課題と考えています。

ちなみに、ECMJ流!シリーズ第5巻あたりからすべての記事を特別なテキストとして保存して手元のテキスト・エディタで編集しました。この機能は現在未公開です。もう少し完成度を高めたところで公開機能としたいと考えていますが、早期開示を希望されるCAS-UBユーザーの方には開示できますので、お問い合わせください。

本文文章の編集

全体の構成ができあがったら、次に文章の表現について修正を行います。CAS-UBの記事編集画面でテキストの編集操作ができます。この際、検索・置換が使えます。

ブログ特有の表現を書籍向けに変更

特に連載されたブログ記事には「次回は」とか「前回はこちら」などのナビゲーション用リンクがあります。本では続きのブログ記事を連続するように配置していますので、ページ順に読み進めてもらえばナビゲーションは必要ありません。また、日付なども昨日、今日といった表現は、内容にもよりますが、本では具体的な日にちが分かるように補足します。このように、紙の本として違和感がないように編集します。

用字・用語の統一

用字・用語は主に講談社発行『日本語の正しい表記と用語の辞典』を参考にしながら独自の規則も作成してエクセル表にまとめて処理しました。特に、数字の書き方の統一はなかなかやっかいです。これはCAS-UBの問題というよりも、日本語の正書法の問題です。日本語では数字を漢数字、ひらがな、アラビア数字で表記でき、さらにアラビア数字はASCIIコード由来の文字コード(慣例的に半角文字ともいう)とJISコード由来の文字コード(慣例的に全角文字ともいう)が使えます。例えば「ひとり」は、一人、ひとり、1(U+0031)人、1(U+FF11)人と表記できます。この使い分けは新聞社系(共同通信社方式)と講談社系では少し違います。

用語の統一

2000年頃以前には新聞社は主として漢数字を使っていました。しかし、2000年頃を境にアラビア数字を基本にするように表記を変えました。また、半角・全角という表現は、すべての文字を固定幅で表す時代の表現です。現在は、可変幅のフォントが隆盛の時代です。いまは、こうした表記方法の過渡期なのです。

いづれにしても本を作る作業の生産性をあげようとしますと、用語・用字の統一処理は自動的に行うのが望ましいところです。

固有名詞

本書のシリーズでは、EコマースのプラットフォームやWebマーケティングの用語がいろいろでてきますのでそのほか、各社のサービスの名前などを確認して正式表記に変更するなどの編集を行います。

こちら(動画)もご参照ください☞ 「総ページビュー(PV)を検索と置換する。記事の先頭は置換しない」

前書・索引

前書の追加

前書は、ブログの記事とは別に、著者にMicrosoft Wordの文書として用意してもらいました。Word文書のインポート機能で取り込み、記事の種類を「前書」に設定します。

CAS-UBでは本文の章や節を入れ替えたときに番号を付け直さなくても良いように、章番号や節番号を自動的にふることができます。もちろん番号をふらない設定もできますし、章だけ番号をふることもできます。その際、「前書」は番号付与の対象外になります。

こちら(動画)もご参照ください☞ 「本文と目次の前に前書を追加。Word文書で作成した「前書」を追加する」

索引作り

本を読む立場からしますと、内容を振り返って読む上では索引が欲しいところです。特に、本書の成り立ちはブログのため、同じようなテーマの文章が随所に現れます。本文を読み進める過程で、あとで振り返って確認したい用語などが出てくることがあります。そこで索引から内容を見つけられるようにする、ということが重要です。

CAS-UBでは一階層の索引は編集画面のボタンからダイヤログで入力できます。但し、親子に階層化した索引はCAS記法で直接マークアップする必要があります。

こうした索引作りの詳細はブログで紹介していますので参照してください。

こちら(動画)もご参照ください☞ 「索引語を選択し、索引の読みを入力して索引をマークアップする操作」


次回へ続く