CAS-UBによる本の制作工程の実例:
「ECMJ流! Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ」編集・制作作業(上)
CAS電子出版の「ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ」は、ECマーケティング人財育成の石田社長が毎日書いているECMJブログを整理して本にするプロジェクトです。プリントオンデマンド(POD)で紙版を出すと共に、EPUB、Kindleなどの形式で、電子書籍として出版します。石田社長のブログは2013年8月8日スタートから毎日更新されており、2016年6月18日に1,000本に到達しています。毎日更新で1,000日連続するだけでもすごいのに、毎回1,500文字の分量が全力投球の内容で書かれています。こういうことができる人は世の中に滅多にいないでしょう。
進捗状況
本企画は2016年10月頃に決まり、現在は9月までの約1,100本を書籍の形式にすることに取り組んでいます。全部で8巻を予定しています。2017年1月26日時点の進捗状況は次のようになっています。
PODと電子書籍共に発売済み
- create第1巻『おにぎり水産 鬼切社長のEコマース奮闘記 ~とある地方の笹かまぼこ工場がネットショップを成功させるまで~』
- create第2巻『Eコマース成功のための土台づくり ~ネットのマーケティングを徹底的に理解せよ~』
- create第3巻『今日からできるEコマースの集客戦略!~広告予算がなくても、アクセスは伸ばせる~』
- create第4巻『Eコマース「勝者の秘訣」はデータ活用にあり!~「データをとって、毎日カイゼン」を繰り返そう~』
- create第5巻『Eコマース"売れる"チームづくりのポイント!~着実に成長するための考え方、取り組み方~』
- create第6巻『市場の変化を読んでEコマースを突破せよ!~「買いたい人」より「売りたい人」が多い時代の戦略~』
制作はCAS-UBを使っていますので、編集作業が終われば、「生成」処理だけでPOD版のPDFと電子書籍のEPUB・Kindle Mobi形式を同時に出力できます。しかし、ストアに登録してから出版されるまでの日数がさまざまなため電子と紙を同日発売というわけにはいきません。POD版は現在は1週間程度の遅れが出ます。
制作中
残り2タイトルを制作中
本プロジェクトの狙い
CAS-UBとの関係
CAS-UBはデジタル技術を使って出版物を編集・制作するサービスです。本の編集・制作作業を効率化すること、特に制作について専門的な知識がなくても高品質なページレイアウトの本ができることを目標としています。
現在は、実際のいろいろなタイプの本を作って実践しながらシステムをさらに改良するとともに、ユーザー向けのサポート情報などを整えています。
制作中に作成した動画をこちらにアップしていますのでご参照ください☞ CAS-UB紹介動画一覧
2016年前半に『PDFインフラストラクチャ解説』、『XSL-FOの基礎』などの図版の多い専門的な書籍を作りました。この経験をCAS-UB V4.0に反映しています。
ECMJ流!シリーズは、これまでとは少し系統が異なる本ですので、本書を制作する過程でも改良ポイントがいくつか見つかっています。こうした点は、CAS-UBの次バージョンに反映していきます。
- create『PDFインフラストラクチャ解説』
- create『XSL-FOの基礎』
ブログを本にする意義
本書の内容はブログとして公開されたものをほぼそのまま本にしています。Webページとして無料で公開されている内容を、本にして有償で売れるかどうか。売る以前に、そもそも売るだけの価値あるいは意義があるかどうかという点を考えねばなりません。これについては、次のように考えています。
- createWebページは端末のディスプレイで読まれるものです。紙に印刷したPOD本はディスプレイで読むよりは理解度が高まるでしょう。このあたりは人によるかもしれませんが。
- createブログでは、毎日少しずつ書かれており、一連の内容でも日にちが飛び飛びになっています。これを一続きの記事をテーマに沿って整理し、また続きものは連続するように整理すると、より分かりやすくなります。
- createWebページはインスタントで永続性がありません。書籍にすることでパッケージ化され、より永続性が高まります。
こちらもご参照ください☞ 「改めて電子書籍とはなにかを考えてみる」
編集方針
「ECMJ流!Eコマースを勝ち抜く原理原則 シリーズ」はブログから本にするにあたり、次の方針を立てています。
- create記事の分類と順序の入れ替えを行う。特に連載ものや前・後編などにわかれている内容は連続するように入れ替えます。ブログは一種の日記です。内容によっては日付順で並べることに意味があるのですが、ECMJ流!ブログの場合は、日にち順よりも、類似の内容を連続させる方が、読者に理解しやすくなると思います。
- create記事の内容は固有名詞や漢字・文章に間違いがあれば確認・訂正します。また、例えば「前回のブログでは」「こちら」などのブログ特有表現は本としての表現に変更したり、昨日・今日などは必要と考えられる範囲で具体的な年・月・日を追加します。しかし、原則として、内容に関わる書き直しはしません。
- create 用字・用語はできるだけ統一します。また、全角英数字、全角アルファベットは原則としてJIS2バイト系の全角数字と全角アルファベットは1バイト系(半角)の数字とアルファベットに統一します。このために、用字用語統一表をExcelの表として作成しました。
ECMJ流! シリーズの構成と巻構成
2016年9月までの1100本の記事はECMJサイトで大きくカテゴリーに分かれています。2016年11月時点のカテゴリーで本の構成を仮に決めました。なおこのカテゴリーは2016年12月時点で刷新されました。以下のカテゴリーとは2016年11月時点のものです
編集・制作の工程
本書の編集・制作の流れは次のようになっています。
1. ブログ記事を仮に整理してPDF化印刷
- createカテゴリーをベースにしてボリューム(巻)構成と章構成を仮に決めました。
- createCAS-UBでは巻を1つの出版物として作成します。
- create各巻の章建てに従って、元のブログから記事毎にコピーして、CAS-UBにペーストして取り込みます。元のブログ記事とCAS-UBの記事は1対1対応です。
- createCAS-UBで各巻を仮に組版してPDFを作成、PDFをプリントアウトします。
2. ボリュームと章建ての見直し
- create 記事毎に何を言いたいかのポイントをEXCELに記入します。
- create EXCEL表に基づいて、記事の巻と章への割振を見直し、各巻の章建てを決めました。次はある章のブログ記事のタイトルを並べたリストです。
このあたりの作業が巻によっては簡単なときと、予想外に時間がかかる巻がありました。例えば、第1巻『おにぎり水産 鬼切社長のEコマース奮闘記』はもともとのブログ記事が一連のシリーズになっていますので、あまり時間を掛けずにできました。しかし、第4巻、第5巻はすべてのブログ記事を数回読んで、そこで言いたいことを整理した上で、テーマに分けて並び替えるという作業にそれぞれ数日かかっています。これは予想外でした。
次回へ続く