本のかたちを考える ― その3
主にプリントオンデマンドの本を想定したときの本の大きな構造

時々本の構造という言葉が使われるのを見ますが、この意味合いを理解するのは難しいことです。しかも、印刷・製本した本と電子書籍では若干のニュアンスが異なります。ここでは主にプリントオンデマンドで本を作ることを想定した上で本の構造について整理してみます。

本のカバーと製本の種類

印刷・製本した本の物理的な構造は、大きく分けるとカバー(表紙)関連と本体から構成されます。カバーは本体を保護したり、手にもって取り扱い易くする目的で本体に付加されるものです。カバーの素材に布や折れ曲がらない厚紙を使って上製本とした本はハードカバーともいいます。カバーに厚めの紙を用いて並製本した本はアマゾンではペーパーバックに分類されています。カバーにそれ以外の素材を使うこともできますし、また製本の仕方パターンも他にいろいろあります。しかし、現在はハードカバーかペーパーバックが一般的です。

印刷・製本して流通を経由して書店などで販売する本はカバーをさらにジャケットで包むことが多のですが、本によっては箱に入れることもあります。ジャケットを着けるときはジャケットが販売促進のためのメッセージや内容を伝える役割を担い、ジャケットはカラー印刷となります。このときカバー自体は特にデザインしないで、場合によってはカバーは白紙のこともあります。

プリントオンデマンドで作成する本にジャケットを付けることはあまりないでしょう。箱に入れることも少ないでしょう。

ペーパーバックのかたち

プリントオンデマンドで本をつくるときには、カバーにはやや厚手の紙を用いて、次の画像のように、おもて表紙・背表紙・裏表紙を一体にして印刷します。カバーと本体は背表紙の部分で糊付けします。横組の本は左開きで製本し、縦組の本は右開きで製本します。

プリントオンデマンドの本のかたち

プリントオンマンドではジャケットを付けませんので、カバー自体に本のタイトルや著者の名前などをデザインしてカラーで印刷します。特におもて表紙(表1)の画像は本の顔に相当するのでデザインが重要です。また売上にも影響が大きいと考えられます。CAS-UBではカバーをデザインする機能はありませんので、カバーは別途用意しなければなりません。

次の例は、CAS電子出版で販売している本のカバーの例です。

CAS電子出版で販売している本のカバーの例

上の図は、横組の本のカバーですので右からおもて表紙(表1)、背表紙、裏表紙の順となります。この中で背表紙の幅は紙の厚さと本体の総ページ数によって変わりますので注意が必要です。ページ数は本の本体のPDFが完成すればその時点で確定します。一方、紙の厚さは印刷用紙の種類によって違いますので、場合によっては印刷する店に問い合わせて、紙の厚さを調べ、それから背表紙の幅を計算してデザインを調整する必要が生じます。

ちなみに、電子書籍ではいうまでもなく、本体を保護したり取り扱い易くするという意味合いでの物理的なカバーは必要ありません。電子書籍では、EPUBにしても、Kindleにしてもカバー画像を指定しますが、これは物理的なカバーではなく本の顔にあたる画像となります。もちろん、背表紙や裏表紙という考えはありません。

本体の大構造

本体は本の内容です。文字を読み易いようにクリーム色の用紙を用いることが多くなります。このとき印刷したインクが裏まで透けて見えないためにある程度の厚さが重要です。

次に本体の構成は、前付、本文、後付に大きく分けられます。次に(『市場の変化を読んでEコマースを突破せよ~「買いたい人」より「売りたい人」が多い時代の戦略~』)の構成とページの例を挙げます。これは簡単な構成の本の例ですが、このように一冊の本は数種類の記事の型から構成されます。これが本の本体の大きな構造と言えるでしょう。

前付

本書では前付にタイトルページ、まえがき、目次をこの順に配置しています。タイトルページはカバー(表1)を捲ったときに見える扉です。必須というわけではありませんが、カバーを捲ったときにいきなり前書となるよりも扉を見せる方が良さそうに感じます。

  • createタイトルページ
    CAS電子出版で販売している本のカバーの例
  • createまえがき
    CAS電子出版で販売している本のカバーの例
  • create目次
    CAS電子出版で販売している本のカバーの例

本文

本文は章/節/項(大見出し、中見出し、小見出し)の階層構造を指定します。印刷・製本する本では章のタイトルを扉として1ページに配置することも良く行われます。しかし、プリントオンデマンドではページあたりの印刷費がまだ割高ですの、章の開始方法は改ページのみとして、章のタイトルと同一ページに節を配置して、若干ですがコストダウンをはかっています。本書の場合は10章までありますので、もし、章のタイトルを扉(裏から本文)とすると10ページほどページ数が多くなり、その分定価を高く設定する必要がでてしまいます。

  • create本文
    CAS電子出版で販売している本のカバーの例

後付

後付には索引と奥付を配置しています。プリントオンデマンドではページ数が偶数にすると効率が良いので、索引の前で改丁するか改ページするかで全体が偶数ページになるように調整します。

  • create索引
    CAS電子出版で販売している本のカバーの例
  • create奥付
    CAS電子出版で販売している本のカバーの例