3. Word文書内容のCAS記法への変換

3–1 Word文書のスタイルと属性の取り込み

「Microsoft Word docx」のインポートでは、Word文書編集時に設定されている文字装飾などのうち、次の表の項目をCAS記法に変換します。

Wordの指定CAS記法(例)備考
アウトラインレベル見出しランク:行頭'='の数 アウトラインレベルに応じて見出しランクを設定します
アウトライン番号非該当番号を取り込みまたは削除(オプションで設定)
太字**ボールド**強い強調(ボールド)
斜体//イタリック//強調(イタリック)
下線__アンダーライン__注意を促す(アンダーライン)
取消線
二重取消線
[[[:del 取り消された文字]]]PDF生成では取消線に対応していません
ルビ(((魑魅魍魎|ちみもうりょう)))
縦中横[[[:tcy 13]]]年
箇条書き* 番号無し箇条書き箇条書きのラベルを文字として取り込むオプションがあります(2–9 行頭記号
段落番号# 番号付き箇条書きリストスタイル(リスト番号)を文字として取り込むオプションがあります(2–8 段落番号
ハイパーリンク[[http://www.antenna.co.jp/]]外部リンクおよび、文書内のブックマークリンクを取り込みます
上付きm^^2^^
下付きH,,2,,O
{{image.jpg|image.jpg}}JPEGとPNG画像はラスター画像に、EMFをSVGとして取り込みます
段落内改行改行前\\改行後
改ページ、セクション区切り++++
表(単純なもの)|セル1|セル2|「単純な表をXHTMLで出力」をチェックすると、単純な表も埋め込みブロックになります(2–12 単純な表の出力
表(セル結合がある表)<<embed・・・>>埋め込みブロック
2–11 表の特殊化[[[:tbl ~]]]で囲み特殊化「表の特殊化」をするか否か選択できます(2–11 表の特殊化
脚注・文末脚注 ((:footnote 脚注の内容)) EPUBでは本文中で()内に表示されます

3–2 Wordで自動生成する記事

Wordで自動生成した、次のセクションは削除します。

3–3 文字の装飾

強調やルビなどCAS記法で表現できるものはCAS記法でマークアップされます(3–1 Word文書のスタイルと属性の取り込みの表を参照)。

文字のサイズや色といったCAS記法で表現できない装飾は、範囲に属性値を付けて style.css で装飾を設定します。

CAS記法で表現できない装飾の例

CASへの取り込み結果

あああああ[[[:FS190:FCyellow:BGblue あああああ]]]
 
[[[:BGred いいい]]][[[:FCyellow:BGred いいい]]][[[:BGred いいい]]]

style.css

body:not(.mltoc) .FS190 {font-size: 1.90rem;}
body:not(.mltoc) .FCyellow {color: #FFFF00;}
body:not(.mltoc) .BGblue {background-color: #0000FF;}
body:not(.mltoc) .BGred {background-color: #FF0000;}

  •  ※body:not(.mltoc) は、装飾が見出しに適用されたとき、目次項目に装飾が反映されないようにするための CSSセレクタです。
  •  ※CAS記法で表現できない装飾は、PDF生成では無視されます。

表示例

ああああああああああ
いいいいいいいいい

文字装飾の変換

文字サイズ文字サイズフォントサイズ

文字サイズは、Wordのスタイル「標準」の文字サイズを基準とした比率で計算されます。文字サイズが「標準」の文字サイズと異なるときに文字サイズ指定の属性値が付きます。

  • ・属性値:FSXX(XX はサイズを示す数字)
  • ・CAS記法例:[[[:FS90 文字の大きさ]]]
  • ・style.css:FSXX {font-size: Nrem;}(N はサイズを示す数字)
    例:FS90 {font-size: 9.0rem;}

記号と特殊文字記号特殊文字

U+E000~F8FF(私用領域)の文字については、属性値でフォントファミリーに「Symbol」を指定し、文字コードをUnicode番号指定でマークアップします。

  • ・属性値:FFSymbol
  • ・CAS記法例:[[[:FFSymbol {{&#xF0B7;}}]]]
    ({{&#xF0B7;}} は Unicode番号指定 のマークアップ)
  • ・style.css:FFSymbol {font-family: Symbol;}

 
 注 意

Wordで設定されているフォントファミリーは無視します。

文字色文字色文字の色

Wordでの「自動」以外の文字色指定を変換します。

  • ・属性値:FCXX(XX は色の名前または英数字)
  • ・CAS記法例:[[[:FCRed 文字の色]]]
  • ・style.css:FCXX {color: 16進RGB値;}
    例:.FCred {color: #FF0000;}

蛍光ペン(背景色)背景色蛍光ペン

Wordでの蛍光ペン指定を背景色指定に変換します。

  • ・属性値:BGXX(XX は色の名前または数字)
  • ・CAS記法例:[[[:BCyellow 蛍光ペンの色]]]
  • ・style.css:BGXX {color: 16進RGB値;}
    例:.BGyellow {background-color: #FFFF00;}

文字揃えと行間の変換

文字揃え文字揃え

文字揃えは、ブロックの先頭に次の属性値を付けます。

  • ・左揃え: :start(行頭寄せ)
  • ・中央揃え: :center(中央)
  • ・右揃え: :end(行末寄せ)
  • ・両端揃え: :jstfy(両端揃え)

行間(空の段落)行間空行

空の段落は、空行の属性値のみの段落になります。空の段落が連続しているときは、空の段落の数だけ、空行の属性値のみの段落ができます。

  • ・空の段落の属性値: :line-gap

3–4 図(Wordの図と図形、他)

取り込んが画像の形式と配置等

Wordの図と図形は、Wordでの画像形式や図の書式設定などで取り込み後の画像形式が異なります。

Word CAS-UB
JPEG, PNGJPEG, PNG
書式設定で線が付加された JPEG, PNGSVG
EMF, WMFSVG
オートシェープSVG
スマートアートSVG
グラフSVG
ワードアートSVG
※ 装飾や効果は、ほとんど再現できません。
グループ化された図SVG
テキストボックスSVG
数式取り込めません、欠落します。

  • ・グループ化された図
    グループ化された図は、1つのSVG画像として取り込みます。また、同じ描画キャンバス上に配置された複数の図も1つのSVG画像として取り込みます。
    グループ化されていない図は個別に取り込まれるので、図の重なりや位置関係は崩れます。
  • ・図の配置
    図はWord文書の中のアンカー位置に配置します。このためWord文書内でアンカー位置が図の表示位置と前後していると、CAS-UBでは図の順序が逆転します。
  • ・図のサイズ
    ブロック画像(段落内に1つの図だけがある状態の図)では、Word文書の版面幅に対する比率で図に幅を設定します。
    インライン画像(同じブロック内に文字と混在している図)では、図の高さを文字の高さと同じになるように設定します(Word文書で、図の文字の折り返しが「行内」になっていて、同じ段落に文字が存在するときのみインライン画像になります)。
  • ・吹き出し
    吹き出しは引出し部分が欠落します。欠落させないためにはテキストボックスや描画キャンバス内に配置する必要があります。
  • ・図の設定
    代替テキストは、図のaltテキストとして取り込みます。
    代替テキスト以外の設定は、ほとんど無視されます。Wordでの表示そのままの図が必要なときは、表示をキャプチャーするなど、別の方法で画像化して取り込んでください。
  • ・テキストボックス
    テキストボックスはSVG画像として取り込まれます。このため取り込み後にテキストの編集はできません。テキストボックス内容をテキストとして取り込みたいときは、Wordでテキストボックス内容を本文に移してからインポートしてください。

図の特殊化

ブロック画像は特殊化されます(CAS記法の [[[:fig と ]]] で括られる)。特殊化された図にはキャプションを付加できます。キャプションを付けると図番号の自動採番や図をID参照できます。また、自動生成の図表一覧から参照されます。

特殊化されたブロック画像の例

 
マークアップ例

[[[:fig =|最初の図|[[[:FS116 最初の図]]]
 
{{:width=87% 358B50EB4B3D4065957337FE23C27066.svg|図の代替テキストタイトルと説明}}
]]]

  •  ※1行目の = に続く下線部分がキャプションです。
  •  ※・・・.svgの後の | に続く下線部分は、画像の altテキストです。altテキストには、Wordの図の代替テキストと説明が入ります。

 
表 示 例

図の代替テキストタイトルと説明

最初の図